労働者派遣事業の許可要件には、派遣労働者のキャリア形成を支援する制度を有することとされています。派遣元事業主は、キャリア形成支援制度の内容に関する判断の一つとして、キャリアコンサルティングの相談窓口を設置しなければなりません。
キャリアコンサルティングの相談窓口の設置
派遣元事業主は、派遣労働者のキャリア形成を行うために、次の条件を満たすキャリアコンサルティングの相談窓口を設置しなければなりません。
- 相談窓口には、担当者が配置されていること。
担当者については、キャリアコンサルタント(有資格者)、キャリアコンサルティングの知見を有する者(職業能力開発推進者、3年以上の人事担当の職務経験がある者等)、又は派遣先との連絡調整を行う営業担当者を配置する必要があること。 - 相談窓口は、雇用するすべての派遣労働者が利用できること。
相談窓口については、事務所内に定められた相談ブースを設置することのみならず、電話による相談窓口の設置、e-mailでの相談の受付、専用WEBサイトの相談窓口の設置等により雇用する派遣労働者がキャリアコンサルティングを申し込めるよう、その雇用する派遣労働者に対して周知するとともに、適切な窓口を提供しなければならないこと。 - 希望するすべての派遣労働者がキャリアコンサルティングを受けられること。
- キャリアコンサルティングは、実施に当たっての規程(事務手引、マニュアル等)に基づいて実施されることが望ましいこと。
なお、キャリアコンサルティングは、必ずしも常時行わなければならないわけで
はなく、例えば毎週2回定期的に実施することや派遣労働者の希望に応じ随時実施すること等も可能です。また、キャリアコンサルティングを行う場所についても事務所の内外を画一的に指定するものではありません。
希望者に対するキャリアコンサルティング等の実施
キャリアコンサルティングを実施するため、キャリアコンサルティングの知見を有する相談員又は派遣先と連絡調整を行う担当者を相談窓口に配置しなければななりません。この「キャリアコンサルティングの知見」とは必ずしも国家資格の取得を必要とするものではなくキャリアコンサルティングの経験でも可とされています。
また、「派遣先と連絡調整を行う担当者」は派遣先の事情など労働市場の状況等を考慮した相談を行うことが求めらます。派遣労働者と派遣先とのパイプ役となる営業担当者やコーディネーターなどが相応しいかと考えます。なお、外部のキャリアコンサルタントに委嘱して対応することとしても差し支えありません。また、相談窓口はその雇用するすべての派遣労働者が利用できるものである必要があります。

キャリアコンサルティングは、希望に応じて行うものであることから、希望があるにもかかわらず実施しないことは認められません。実施方法については派遣元事業主の裁量に委ねられるているため、対面のみならず電話等で行うことも差し支えありません。
雇用安定措置の実施に当たっては、キャリアコンサルティングの結果を踏まえて行うことが望ましく、また、キャリアコンサルティングを受けることにより、今後の自身のキャリアを見つめ直すきっかけになることや、教育訓練を受けることにより習得できる知識・技能と希望する職務の関連性を理解することにつながることが考えられること等から、キャリアコンサルティングを受けることが望ましい旨を派遣労働者に対して周知することが望ましいこととされています。
キャリアコンサルタントについて
「キャリアコンサルタント」とは、キャリアコンサルティングを行う専門家で、企業、需給調整機関(ハローワーク等)、教育機関、若者自立支援機関など幅広い分野で活躍されています。
「キャリアコンサルティング」とは、労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行うことをいいます。
キャリアコンサルタントについての詳細は、厚生労働省のキャリアコンサルティング・キャリアコンサルタントをご参照下さい。