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「厚生労働省令で定める基準に適合するもの」とは?
労働者派遣事業の許可要件の一つとして、申請者が派遣事業の派遣労働者の雇用管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして、「厚生労働省令で定める基準に適合するもの」であることとされています。
ここでは。申請者の雇用管理能力を問うているのですね。具体的に、「厚生労働省で定める基準に適合するもの」とは次の2点の基準をいいます。
- 派遣労働者のキャリアの形成を支援する制度(厚生労働大臣が定める基準を満たすものに限る。)を有すること
- 1.のほか、派遣労働者に係る雇用管理を適正に行うための体制が整備されていること
派遣労働者のキャリアの形成を支援する制度の内容に関する判断とは?
派遣元事業主は、派遣労働者のキャリア形成を行うために、次のa、b、c、d及びeを満たすキャリア形成支援制度を有しなければならないこととされています。
- 派遣労働者のキャリア形成を念頭に置いた段階的かつ体系的な教育訓練の実施計画を定めていること。
- キャリアコンサルティングの相談窓口を設置していること。
- キャリア形成を念頭に置いた派遣先の提供を行う手続が規定されていること。
- 教育訓練の時期・頻度・時間数等
- 教育訓練計画の周知等
※具体的な内容(許可要件)は、後日それぞれの項目にフォーカスした記事にて説明致します。
派遣労働者に係る雇用管理を適正に行うための体制整備に関する判断とは?
派遣労働者を雇用する者と指揮命令する者が分離するという特性に鑑み、派遣労働者に対する適切な雇用管理能力を要求することにより、派遣労働者の保護及び雇用の安定を図るため、次のような事項につき判断することとされています。
- 派遣元責任者に関する判断
- 派遣元事業主に関する判断
- 教育訓練(キャリア形成支援制度に関するものを除く。)に関する判断
※具体的な内容(許可要件)は、後日それぞれの項目にフォーカスした記事にて説明致します。
申請者が派遣事業の派遣労働者の雇用管理を適正に行うに足りる能力を有するもの(まとめ)
許可申請の要件の「財産的基礎」に関する要件や「事務所(事業所)」に関する要件などは、ハード的な要素と考え、「雇用管理を適正に行うに足りる能力を有するもの」とは、労働者派遣事業を適正に運用するためのソフトウェアのように捉えて戴けると分かりやすいかもしれません。派遣の許可はハードとソフトをバランスよく整備して、実務に備えなくてはなりません。
実際に許可取得後の労働者派遣事業を順調に進捗している派遣元企業の特徴として、教育訓練の体系がしっかりできていて、キャリア相談に長けたコンサルティング能力を持ち備え、派遣労働者のキャリア形成が実現できる良質な派遣先を確保し(営業力)、そして、それらを支える経営戦略に長けた派遣元事業主に、派遣労働者や派遣先企業のマネジメント能力の高い派遣元責任者や職務代行者等のマンパワーが充実していることが分かります。