派遣許可要件として、派遣元事業主は、派遣労働者のキャリア形成を支援する制度の内容の一つとして、段階的かつ体系的な教育訓練の実施計画を策定しなければなりません。
派遣労働者のキャリア形成を念頭に置いた段階的かつ体系的な教育訓練の実施計画を定めるにあたりまして、教育訓練の訓練計画は、以下の要件を全て満たさなければなりません。
教育訓練計画の内容の判断
実施する教育訓練がその雇用する全ての派遣労働者を対象としたものであること。
ただし、実際の教育訓練の受講にあたり、以下の者については、教育訓練は受講済みであるとして取り扱うことができます。
- 過去に同内容の教育訓練を受けたことが確認できる者
- 業務に関する資格を有している等、明らかに十分な能力を有している者
なお、受講済みとして取り扱うことができる派遣労働者であっても、派遣労働者が教育訓練の受講を希望する場合は、受講させることが望ましいこととされています。
実施する教育訓練が有給かつ無償で行われるものであること。
教育訓練の受講時間を労働時間として扱い、相当する賃金を支払うことを原則としなければなりません。
ただし、派遣元事業主において時間を管理した訓練を実施することが困難であることに合理的な理由がある場合(例えば、派遣元事業所と派遣先の事業所との距離が非常に遠く終業後に訓練を行うことが困難である場合であって、eラーニングの設備もない場合)については、キャリアアップに係る自主教材を渡す等の措置を講ずることとしても差し支えないが、その場合は、教材の学習に必要とされる時間数に見合った手当を支払うものであることとされています。
また、これらの取扱は就業規則又は労働契約等に規定しなければなりません。なお、派遣労働者が段階的かつ体系的な教育訓練を受講するためにかかる交通費については、派遣先との間の交通費より高くなる場合は派遣元事業主において負担すべきものであることとされています。

実施する教育訓練が派遣労働者のキャリアアップに資する内容のものであること。
教育訓練の内容は、派遣元事業主が一義的に定めるものですが、派遣労働者としてより高度な業務に従事すること、派遣としてのキャリアを通じて正社員として雇用されることを目的としているなど、キャリアアップに資するものであること。
具体的に資する理由は、許可申請書類の一つ、キャリア形成支援制度に関する計画書(様式第3号-2)において記述することになります。
複数の訓練コースを設けることも可能で、訓練内容によって対象者が異なっても
差し支えありません。なお、ヨガ教室や趣味的な英会話教室、面接対策とは異なるメイクアップ教室のような、派遣労働者の福利厚生を目的とした明らかにキャリア形成に無関係なものは含まれません。
派遣元事業主は、許可申請時に作成した教育訓練計画についてキャリアアップに資する内容であることを説明できなければなりません。
派遣労働者として雇用するにあたり実施する教育訓練が含まれたものであること。
訓練内容に、入職時に行う訓練が含まれていること。短期雇用の者であっても教育訓練を受講させることができるよう、派遣元事業主と派遣先とが互いに協力することが望ましいこととされています。
無期雇用派遣労働者に対して実施する教育訓練は、長期的なキャリア形成を念頭に置いた内容のものであること。
派遣元事業主は、無期雇用派遣労働者に対する教育訓練計画が長期的なキャリア形成を念頭とする内容であることを説明できなければなりません。

教育訓練の実施形態に関する判断
教育訓練の実施形態は、通常の業務を一時的に離れて行う教育訓練(OFF JT:Off-The-Job Training)のみならず、日常の業務につきながら行う教育訓練(OJT:On-The-Job Training)のうち計画的に行うものを含めていても差し支えない。
HRベイシス社会保険労務士事務所に新規の派遣許可や許可更新の申請をご依頼いただきますと、最も許可申請の壁といえる段階的かつ体系的な教育訓練の体系や具体的な教育研修プログラムの作成も承りますのでご安心下さい。