労働者派遣事業の許可要件のうち、許可の基準に適合していると認めるときでなければ労働者派遣事業の許可をしてはならないこととされています(派遣法第7条第1項)。
労働者派遣事業の許可の要件(基準)については、労働者派遣事業の健全化及び派遣労働者の実効性ある保護を図る観点から、要件全てに適合していると認められることとされています。
今回は、労働者派遣事業の許可要件の一つ目、「専ら派遣の禁止」について確認してみましょう。
労働者派遣事業が専ら労働者派遣の役務を特定の者に提供することを目的として行われるものでないこと。
労働力需給の適正な調整を図るため、特定企業への労働者派遣に関して、次のとおり判断します。
当該要件を満たすためには、労働者派遣法第48条第2項の勧告の対象とならないものであること、すなわち、当該事業が専ら労働者派遣の役務を特定の者に提供することを目的として行われるもの(雇用の機会の確保が特に困難であると認められる労働者の雇用の継続等を図るために必要であると認められる場合として厚生労働省令で定める場合において行われるものを除く。)でないことが必要です。
「専ら労働者派遣の役務を特定の者に提供することを目的とする」とは、特定の者に対してのみ当該労働者派遣を行うことを目的として事業運営を行っているものであって、それ以外の者に対して労働者派遣を行うことを目的としていない場合です。
専ら派遣の例外
「厚生労働省令で定める場合」とは、当該労働者派遣事業を行う派遣元事業主が雇用する派遣労働者のうち、10分の3以上の者が60歳以上の者(他の事業主の事業所を60歳以上の定年により退職した後雇い入れられた者に限ります。)である場合です。
なお、「専ら労働者派遣の役務を特定の者に提供することを目的として行うものではないこと」を、労働者派遣事業の許可条件として付することに留意してください。
労働者派遣事業が不特定の者に対して行うことを目的として事業運営を行っている場合であって、結果として、特定の者に対してしか労働者派遣をすることができなかったときは、「専ら労働者派遣の役務を特定の者に提供することを目的とする」には含まれません。
「特定の者」とは、一つであると複数であるとを問わず対象が特定されていることを言います。なお、この該当の有無は、事業所ごとに判断されます。