労働者派遣事業の許可要件として、「申請者が労働者派遣事業を的確に遂行するに足りる能力を有するものであること」とされています。その要件の一つである「適正な事業運営に関する判断」を確認しておきましょう。
労働者派遣事業を派遣事業以外の会員の獲得、組織の拡大、宣伝等他の目的の手段として利用しないこと、登録に際し、いかなる名義であっても手数料に相当するものを徴収しないこと等、法の趣旨に沿った適切な事業運営を行うものであり、次のいずれにも該当することが必要です。
- 労働者派遣事業において事業停止命令を受けた者が、当該停止期間中に、許可を受けようとするものではないこと。
- 法人にあっては、その役員が、個人事業主として労働者派遣事業について事業停止命令を受け、当該停止期間を経過しない者ではないこと。
- 労働者派遣事業を当該事業以外の会員の獲得、組織の拡大、宣伝等他の目的の手段として利用するものではないこと。
許可申請関係書類として提出された定款又は寄附行為及び登記事項証明書については、その目的の中に「労働者派遣事業を行う」旨の記載があることが望ましいが、当該事業主の行う事業の目的中の他の項目において労働者派遣事業を行うと解釈される場合においては、労働者派遣事業を行う旨の明示的な記載は要しないものであることとされています。なお、定款又は寄附行為及び登記事項証明書の目的の中に適用除外業務について労働者派遣事業を行う旨の記載がある場合については、そのままでは許可ができないものであるので留意することとされています。 - 登録制度を採用している場合において、登録に際し、いかなる名義であっても手数料に相当するものを徴収するものではないこと。
- 自己の名義をもって、他人に労働者派遣事業を行わせるために、許可を得ようとするものではないこと。
- 労働者派遣法第25条の規定の趣旨に鑑み、人事労務管理業務のうち、派遣先における団体交渉又は労働基準法に規定する協定の締結等のための労使協議の際に使用者側の直接当事者として行う業務について労働者派遣を行おうとするものではないこと。なお、当該業務について労働者派遣を行おうとするものではないことを労働者派遣事業の許可条件として付するものであることに留意することとされています。
厚生労働大臣は、労働者派遣事業に係るこの法律の規定の運用に当たつては、労働者の職業生活の全期間にわたるその能力の有効な発揮及びその雇用の安定に資すると認められる雇用慣行並びに派遣就業は臨時的かつ一時的なものであることを原則とするとの考え方を考慮するとともに、労働者派遣事業による労働力の需給の調整が職業安定法に定める他の労働力の需給の調整に関する制度に基づくものとの調和の下に行われるように配慮しなければならない。
労働者派遣法第25条(運用上の配慮)