労働者派遣できない病院等における医療関係業務
派遣に強い
社労士

労働者派遣事業を行うことができない業務(適用除外業務)は、港湾運送業務、 建設業務、 警備業務を前回ご説明しましたが、今回は、「病院等における医療関係業務」とその他の労働者派遣事業ができない業務を確認致しましょう。

以下に該当する医療関係業務では、労働者派遣事業を行うことができません。

労働者派遣事業が禁止されている医療関係業務

(※1)の病院・診療所には、障害者支援施設、生活保護法に基づく救護施設・更生施設、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム等に設置された診療所は含みません。

(※2)訪問入浴介護・介護予防訪問入浴介護に係るものについての労働者派遣事業は禁止されていません。

(※3)歯科衛生士、診療放射線技師、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、臨床工学技士、義肢装具士、救急救命士、言語聴覚士、認定特定行為業務従事者が該当します。

医療関係業務で派遣事業が行うことができる例外

ただし、下記①~④のいずれかに該当する場合は、医療関係業務について労働者派遣事業を行うことが認められています。

  1. 紹介予定派遣をする場合
  2. 当該業務が産前産後休業、育児休業、介護休業を取得した労働者の業務である場合
  3. 医師、薬剤師、看護師、准看護師、臨床検査技師及び診療放射線技師の業務であって、当該業務に従事する派遣労働者の就業の場所がへき地にある場合
  4. 医師の業務であって、当該業務に従事する派遣労働者の就業の場所が地域における医療の確保のためには医業に派遣労働者を従事させる必要があるとして厚生労働省令で定める場所である場合(へき地にあるものを除く。

へき地とは、以下の①~⑦の地域をその区域に含む市町村として、厚生労働省令(平成18年厚生労働省令第70号)により指定された地域です。

「へき地」とは?
  1. 離島振興法第2条第1項により離島振興対策実施地域として指定された離島の区域
  2. 奄美群島振興開発特別措置法第1条に規定する奄美群島の区域
  3. 辺地に係る公共的施設の総合整備のための財政上の特別措置等に関する法律第2条第1項に規定する辺地
  4. 山村振興法第7条第1項により指定された振興山村の地域
  5. 小笠原諸島振興開発特別措置法第4条第1項に規定する小笠原諸島の地域
  6. 沖縄振興特別措置法第3条第3号に規定する離島の地域
  7. 過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法第2条第1項に規定する過疎地域

その他労働者派遣事業ができない業務等

次の業務は、その業務について定める各法令の趣旨から、労働者派遣事業を行うことはできません。

  1. 弁護士外国法事務弁護士司法書士土地家屋調査士の業務
  2. 公認会計士税理士弁理士社会保険労務士行政書士の業務(それぞれ一部の業務を除きます。)
  3. 建築士事務所の管理建築士の業務

人事労務管理関係のうち、派遣先において団体交渉又は労働基準法に規定する協定の締結等のための労使協議の際に使用者側の直接当事者として行う業務は、労働者派遣法第25条の趣旨に照らして行うことはできません。

同盟罷業(ストライキ)若しくは作業所閉鎖(ロックアウト)中又は争議行為が発生しており、同盟罷業や作業所閉鎖に至るおそれの多い事業所への新たな労働者派遣を行ってはなりません。(労働者派遣法第24条、職業安定法第20条)

公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で労働者派遣をすることはできません。(労働者派遣法第58条)