民間人材ビジネスに対する指導監督状況(東京労働局)

民間人材ビジネスに対する指導監督状況(令和元年度)/東京労働局

東京労働局(局長:土田 浩史)は、令和2年6月25日、「令和元年度における民間人材ビジネス(労働者派遣事業、職業紹介事業、請負事業等)に係る指導監督状況」を取りまとめ、公表しました。

指導監督の結果、延べ3,045事業所に指導監督を実施、2事業主に対して行政処分が下されました。今回は、公表された報告から、労働者派遣事業を中心に確認しておきましょう。

令和元年度指導監督の概要

行政処分>

悪質な法令違反により、労働者派遣元事業所2事業主に対して業務停止命令及び改善命令が発出されています。この2件の処分理由は、「他者が雇用する労働者を業務委託と称する契約により受け入れ、別の企業に労働者供給を行った。」こと、「他者から労働者供給を受け入れ、別の企業に労働者供給を行った。」ことでともに職業安定法第44条(労働者供給事業の禁止)に抵触するものでした。

何人も、次条に規定する場合を除くほか、労働者供給事業を行い、又はその労働者供給事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させてはならない。

参考:職業安定法44条(労働者供給事業の禁止)

行政指導>

行政指導として、労働者派遣事業延べ2,041事業所、職業紹介事業延べ699事業所、請負事業等延べ305事業所(計延べ3,045事業所)に対して、指導監督が実施されました。そして、指導監督を行った事業所に対する是正指導(文書指導)を、労働者派遣関係1,061件、職業紹介関係302件、請負事業等関係225件(計1,588件)実施されています。

労働者派遣事業に関する主な指導内容

指導内容は、労働者派遣事業を構成する派遣元や派遣先に対して比較的指導される頻度が多いものですので、貴社でも管理等の漏れがないどうか、今一度確認をしておきましょう。

派遣元事業主に対する指導内容

  • 就業条件の明示(労働者派遣法第34条第1項)
    就業条件の明示がなされていない、あるいは明示の内容に不備がある。
  • 派遣元管理台帳(労働者派遣法第37条第1項)
    派遣元管理台帳の記載内容に不備がある。
  • 労働者派遣契約(労働者派遣法第26条第1項)
    労働者派遣契約の内容に不備がある。
  • 派遣先への通知(労働者派遣法第35条第1項)
    派遣元事業主から派遣先へ通知する内容に不備がある。
  • マージン率等の情報提供(労働者派遣法第23条第5項)
    派遣労働者に対し、マージン率等の情報提供が正しく行われていない。

派遣先に対する指導内容

  • 派遣先管理台帳(労働者派遣法第42条第1項)
    派遣先管理台帳の記載内容に不備がある。
  • 労働者派遣契約(労働者派遣法第26条第1項)
    労働者派遣契約の内容に不備がある。

令和2年度の指導監督方針のポイント

東京労働局の令和2年度の指導監督方針のポイントが公開されていますので、こちらも確認しておきましょう。

令和2年度の指導監督方針(東京労働局)

  • 派遣元事業主に対して、新型コロナウイルス感染症の影響に係る派遣労働者の雇用維持等の要請を実施するとともに、労働者派遣契約の不更新等がある場合にも、労働者派遣法に基づく派遣労働者に係る雇用安定措置が確実に実施されるよう周知及び指導に努めます。
  • 働き方改革の一環として、同一労働同一賃金などの派遣労働者の不合理な待遇差解消を目指す、平成30年改正労働者派遣法が適切に履行されるよう周知及び指導に努めます。
  • 平成29年改正職業安定法についても、労働条件明示等が的確に実施されるよう周知及び指導に努めます。
  • いわゆる偽装請負、多重派遣を行う事業者や、悪質な違反を行った事業主及び違反を繰り返す事業主に対しては、行政処分、勧告・公表を含む厳正な指導監督を実施します。

まとめ

令和元年度の指導監督状況から、労働者派遣事業で調査対象となった事業所が2,041事業所ということから、定期的な指導監督に関する調査の頻度は、1事業所あたり3年から5年に1度程度の頻度で実施されていると推測されます。昨年度の指導内容は従来とほとんど変わりなく派遣就業条件の明示や派遣元管理台帳、労働者派遣個別契約書そしてマージン率の情報提供等労働者派遣事業に必須の契約書式等の整備ができていない派遣元が半数近くあることです。

令和2年度の指導監督方針の最重要ポイントは、やはり新型コロナウイルス感染症による派遣労働者の雇用維持に尽きると考えます。派遣元は、雇用安定措置の確実な実施はもちろんのこと、雇用調整助成金を活用してできる限りの雇用維持を図る努力が求められます。

さらに、本来であれば、最も調査対象の目玉となったはずの平成30年派遣法改正、派遣労働者の同一労働同一賃金に関しての派遣労働者の不合理な待遇差解消に関する取り組みが、実際の運用で適正に行われているか否かというところでしょうか。