労働者派遣個別契約書

労働者派遣個別契約(労働者派遣法第26条)

労働者派遣契約の締結にあたっては、次の事項を定めるとともにその内容の差異に応じて派遣労働者の人数を定めなければなりません。

労働者派遣法で定める契約事項の定めは、労働者派遣を行うに当たっての必要最低限のもので、それ以外の派遣料金、債務不履行の場合の損害賠償責任等の定めについては当事者の自由に委ねられています。

労働者派遣契約の締結事項

労働者派遣契約には、次の事項を定めなければならない。

労働者派遣契約個別契約書の締結事項
  1. 派遣労働者が従事する業務の内容
    ・業務の内容は、その業務に必要とされる能力、行う業務等が具体的に記述され、当該記載により当該労働者派遣に適格な派遣労働者を派遣元事業主が決定できる程度のものであることが必要であり、できる限り詳細であることが適当である。
    適用除外業務以外の業務に限られること。
    ・従事する業務の内容については可能な限り詳細に記載すること。
    ・同一の派遣労働者が複数の業務に従事する場合については、それぞれの業務の内容について記載すること。 
    ・業務の内容に令第4条第1項各号に掲げる業務が含まれるときは、日雇労働者に係る労働者派遣が可能な業務であることを労働者派遣契約当事者間で認識を共有するため、当該号番号を付すること。ただし、日雇労働者に係る労働者派遣が行われないことが明らかである場合は、この限りではない。
  2. 派遣労働者が従事する業務に伴う責任の程度(規則第22条第1号)
    ・派遣労働者が従事する業務に伴って行使するものとして付与されている権限の範囲・程度等をいうこと。
    ・チームリーダー、副リーダー等の役職を有する派遣労働者であればその具体的な役職を、役職を有さない派遣労働者であればその旨を記載することで足りるが、派遣元事業主と派遣先との間で、派遣労働者が従事する業務に伴う責任の程度について共通認識を持つことができるよう、より具体的に記載することが望ましい。 
  3. 派遣労働者が労働者派遣に係る労働に従事する事業所の名称及び所在地その他派遣就業の場所並びに組織単位
    ・派遣労働者が実際に派遣就業する事業所その他の施設の名称、所在地だけではなく具体的な派遣就業の場所及び組織単位(組織の名称)も含むものであり、原則として、派遣労働者の所属する部署、電話番号等必要な場合に派遣元事業主が当該派遣労働者と連絡がとれる内容であること。加えて、組織単位を特定するために必要な事項(組織の長の職名)を明記することが望ましい。
    ・事業所等における組織単位については、課、グループ等の業務としての類似性や関連性がある組織であり、かつ、その組織の長が業務の配分や労務管理上の指揮命令監督権限を有するものであって、派遣先における組織の最小単位よりも一般に大きな単位を想定しているが、名称にとらわれることなく実態により判断すべきものである。ただし、小規模の事業所等に
    おいては、組織単位と組織の最小単位が一致する場合もあること。また、実際上の取扱いとしては、派遣先における組織が指定されることから、派遣先がこの基準に従って指定することが通常であると考えられること。
    ・派遣労働者が実際に派遣就業する事業所等が、規則第25条の9に掲げる「派遣先の事業所その他派遣就業の場所」と一致しないこともあるため、労働者派遣契約に当該情報を併せて記載することが望ましい。
  4. 労働者派遣の役務の提供を受ける者のために、就業中の派遣労働者を直接指揮命令する者に関する事項
    ・派遣労働者を具体的に指揮命令する者の部署、役職及び氏名である。
  5. 労働者派遣の期間及び派遣就業をする日
    ・当該労働者派遣契約に基づき、派遣労働者が労働者派遣される期間及び派遣労働者が具体的に派遣就業をする日であり、期間については、具体的な労働者派遣の開始の年月日及び終了の年月日、就業する日については、具体的な曜日又は日を指定しているものであること。 
  6. 派遣就業の開始及び終了の時刻並びに休憩時間
    ・派遣就業すべき日の派遣労働者の日々の始業、終業の時刻並びに休憩時間(法律上は時間数のみであるが、一般的には休憩の開始及び終了の時刻を特定して記載することが適当)である。
    ・この定めの内容は、労働基準法で定める労働時間、休憩時間に関する規定に反しておらず、かつ、派遣元事業主と派遣労働者との間の労働契約の枠内でなければならない。
  7. 安全及び衛生に関する事項
    ・派遣労働者が派遣先において1.の業務を遂行するに当たって、 当該派遣労働者の安全、衛生を確保するために必要な事項(次に掲げる事項)に関し就業条件を記載する必要がある。
    ( i ) 派遣労働者の危険又は健康障害を防止するための措置に関する事項
    (ⅱ) 健康診断の実施等健康管理に関する事項
    (ⅲ) 換気、採光、照明等作業環境管理に関する事項
    (ⅳ) 安全衛生教育に関する事項
    ( v ) 免許の取得、技能講習の修了の有無等就業制限に関する事項
    (ⅵ) 安全衛生管理体制に関する事項
    (ⅶ) その他派遣労働者の安全及び衛生を確保するために必要な事項
  8. 派遣労働者から苦情の申出を受けた場合における当該申出を受けた苦情の処理に関する事項
    ・ 派遣元事業主及び派遣先は、派遣労働者の苦情の申出を受ける者、派遣元事業主及び派遣先において苦情処理をする方法、派遣元事業主と派遣先との連携のための体制等を記載すること(「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針」第2の3(第6の27参照)及び「派遣先が講ずべき措置に関する指針」第2の7(第7の19参照))。
    ・ 派遣労働者の苦情の申出を受ける者については、その者の氏名の他、部署、役職、電話番号についても記載すること。
  9. 派遣労働者の新たな就業の機会の確保、派遣労働者に対する休業手当(労働基準法第26条の規定により使用者が支払うべき手当をいいます。)等の支払に要する費用を確保するための当該費用の負担に関する措置その他の労働者派遣契約の解除に当たって講ずる派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置に関する事項
    ・ 労働者派遣契約の解除に際して、派遣労働者の雇用の安定を図る観点から、当該労働者派遣契約の当事者である派遣元事業主及び派遣先が協議して次の事項等に係る必要な措置を具体的に定めること(労働者派遣法第29条の2、「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針」第2の2の(2)(第6の27参照)及び「派遣先が講ずべき措置に関する指針」第2の6の(1)(第7の19参照))。
    (ⅰ) 労働者派遣契約の解除の事前の申入れ
    派遣先は、専ら派遣先に起因する事由により、労働者派遣契約の契約期間が満了する前の解除を行おうとする場合には、派遣元事業主の合意を得ることはもとより、あらかじめ相当の猶予期間をもって派遣元事業主に解除の申入れを行うものとすること。
    (ⅱ) 派遣先における就業機会の確保
    派遣元事業主及び派遣先は、労働者派遣契約の契約期間が満了する前に派遣労働者の責に帰すべき事由以外の事由によって労働者派遣契約の解除が行われた場合には、当該派遣先の関連会社での就業をあっせんする等により、当該労働者派遣契約に係る派遣労働者の新たな就業機会の確保を図るものとすること。
    (ⅲ) 損害賠償等に係る適切な措置
    派遣先は、派遣先の責に帰すべき事由により労働者派遣契約の契約期間が満了する前に労働者派遣契約の解除を行おうとする場合には、派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ることとし、これができないときには、少なくとも当該労働者派遣契約の解除に伴い当該派遣元事業主が当該労働者派遣に係る派遣労働者を休業させること等を余儀なくされたことにより生じた損害の賠償を行わなければならないものとすること。
    (ⅳ) 労働者派遣契約の解除の理由の明示
    派遣先は、労働者派遣契約の契約期間が満了する前に労働者派遣契約の解除を行おうとする場合であって、派遣元事業主から請求があったときは、労働者派遣契約の解除を行った理由を当該派遣元事業主に対し明らかにするものとすること。
  10. 労働者派遣契約が紹介予定派遣に係るものである場合にあっては、当該職業紹介により従事すべき業務の内容及び労働条件その他の当該紹介予定派遣に関する事項
    労働者派遣契約が紹介予定派遣に係るものである場合は、次に掲げる当該紹介予定派遣に関する事項を記載すること。
    ・ 紹介予定派遣である旨
    ・ 紹介予定派遣を経て派遣先が雇用する場合に予定される従事すべき業務の内容及び労働条件等
    ・ 紹介予定派遣を受けた派遣先が、職業紹介を受けることを希望しなかった場合又は職業紹介を受けた者を雇用しなかった場合には、派遣元事業主の求めに応じ、それぞれのその理由を、書面の交付、ファクシミリを利用してする送信、又は電子メールその他のその受信をする者を特定して情報を伝達するために用いられる電気通信(電気通信事業法(昭和59年法律
    第86号)第2条第1号に規定する電気通信をいう。電子メール等の送信の方法(当該電子メール等の受信をする者が当該電子メール等の記録を出力することにより書面を作成できるものに限る。以下同じ。)により、派遣元事業主に対して明示する旨・ 紹介予定派遣を経て派遣先が雇用する場合に、年次有給休暇及び退職金の取扱いについて、労働者派遣の期間を勤務期間に含めて算入する場合はその旨
    ・ 労働者を派遣労働者として雇用しようとする場合はその旨
  11. 派遣元責任者及び派遣先責任者に関する事項(規則第22条第2号)
    ・ 派遣元責任者及び派遣先責任者の役職、氏名及び連絡方法である。また、1.(派遣労働者が従事する業務の内容)が製造業務である場合には、当該派遣元責任者及び派遣先責任者が、それぞれ製造業務専門派遣元責任者(規則第29条第3号)又は製造業務専門派遣先責任者(規則第34条第3号)である旨を記載すること。
    ・ 派遣先責任者の選任義務規定の適用を受けない場合(規則第34条第2号ただし書)は、当該事項の記載は要しない。ただし、派遣先責任者を選任している場合には、記載を要するものである。
  12. 労働者派遣の役務の提供を受ける者が5.の派遣就業をする日以外の日に派遣就業をさせることができ、又は6.の派遣就業の開始の時刻から終了の時刻までの時間を延長することができる旨の定めをした場合には、当該派遣就業をさせることができる日又は延長することができる時間数(規則第22条第3号)
    ・この定めをする場合には、当該定めの内容が派遣元事業主と派遣労働者との間の労働契約又は派遣元事業場における36協定により定められている内容の範囲内でなければならない。 
  13. 派遣元事業主及び派遣先との間で、派遣先が当該派遣労働者に対し、派遣先が設置及び運営する物品販売所、病院、診療所、浴場、理髪室、保育所、図書館、講堂、娯楽室、運動場、体育館、保養施設等の施設であって現に派遣先に雇用される労働者が通常利用しているもの(給食施設、休憩室及び更衣室を除く。)の利用、レクリエーション等に関する施設又は設備の利用、制服の貸与、教育訓練その他の派遣労働者の福祉の増進のための便宜を供与する旨の定めをした場合には、当該便宜の供与に関する事項についても記載すること(労働者派遣法第40条第4項、規則第22条第4号、派遣先指針第2の9(1))。
    なお、派遣先の給食施設休憩室及び更衣室の利用については、法律上の労働者派遣契約の記載事項ではないが、労働者派遣法第40条第3項の規定に基づき利用機会を付与しなければならないものとされていることに留意すること。
  14. 労働者派遣の役務の提供を受ける者が、労働者派遣の終了後に、当該労働者派遣に係る派遣労働者を雇用する場合に、その雇用意思を事前に労働者派遣をする者に対し示すこと、当該者が職業紹介を行うことが可能な場合は職業紹介により紹介手数料を支払うことその他の労働者派遣の終了後に労働者派遣契約の当事者間の紛争を防止するために講ずる措置(規則第22条第5号)。
    なお、派遣先が派遣元事業主に紹介手数料を払うのは、派遣元事業主が職業安定法その他の法律の規定による許可を受けて、又は届出をして職業紹介を行うことができる場合において、派遣先がその職業紹介により当該派遣労働者を雇用したときに限られる。(「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針」第2の2(2)ロ)。
    紹介手数料のことを定める場合については、可能な限り詳細に記載するこ
    とが望ましいが、紹介手数料の額までを記載することまでは要しない(紹介手数料については別途定めるといった記載でも差し支えない。)。
  15. 派遣労働者を協定対象派遣労働者(労働者派遣法第30条の4第1項の協定で定めるところによる待遇とされる派遣労働者をいう。)に限定するか否かの別(規則第22条第6号)
  16. 派遣労働者を無期雇用派遣労働者又は60歳以上の者に限定するか否かの別(規則第22条第7号)
  17. 派遣可能期間の制限を受けない業務に係る労働者派遣に関する事項
    有期プロジェクトの業務について労働者派遣を行うときは、派遣法第40条の2第1項第3号イに該当する旨を記載すること(規則第22条の2第2号)。
    日数限定業務について労働者派遣を行うときは、ⅰ)派遣法第40条の2第1項第3号ロに該当する旨、ⅱ)当該派遣先において、同号ロに該当す
    る業務が1箇月間に行われる日数、ⅲ)当該派遣先の通常の労働者の1箇月間の所定労働日数を記載すること(則第22条の2第3号)。
    育児休業等の代替要員としての業務について労働者派遣を行うときは、派遣先において休業する労働者の氏名及び業務並びに当該休業の開始及び終了予定の日を記載すること(規則第22条の2第4号)。
    介護休業等の代替要員としての業務について労働者派遣を行うときは、派遣先において休業する労働者の氏名及び業務並びに当該休業の開始及び終了予定の日を記載すること(規則第22条の2第5号)。
労働者派遣個別契約書(労働者派遣法第26条)
労働者派遣契約個別契約書の締結事項

派遣労働者の人数の定め

派遣労働者の人数の定めは次により行わなければなりません(規則第21条第1項)。

  1. 就業条件の組合せが1つの場合は、その派遣労働者の人数
  2. 就業条件の組合せが複数の場合は、その組合せごとの派遣労働者の人数

派遣労働者の人数とは、当該就業条件の組合せで常時居ることとなる人数であり、複数の者が交替して行うこととなる場合であってもその複数の者分の人数を定めるものではない。例えば、午前と午後で1人ずつ就業することとなる場合は1人となります。

派遣元事業主であることの明示等

派遣元は、労働者派遣契約を締結するにあたり、予め許可等を受けている旨(労働者派遣許可番号)を明示しなければなりません。

派遣先は、派遣元事業主から明示された許可番号を労働者派遣契約に記載しておかなければなりません(規則第21条第4項)

労働者派遣事業契約書式診断サービス

HRベイシス社会保険労務士事務所では、労働者派遣事業の業務運営に必須とされる契約書式のリーガルチェックを行っております。都道府県労働局の定期監査対策や現在の使用されている契約書式やその内容に不備がないかご不安な派遣元企業様にご活用いただければ幸いです。

労働者派遣事業契約書式診断サービスはこちらから

関連記事

  1. 派遣労働者が従事する業務の内容

    労働者派遣契約 派遣労働者が従事する業務の内容(契約事項①)

  2. 派遣労働者が従事する業務に伴う責任の程度

    労働者派遣契約 派遣労働者が従事する業務に伴う責任の程度(契約事項②)…

  3. 派遣先等からの派遣元への情報提供等

    比較対象労働者の待遇等に関する情報の提供 ①比較対象労働者とは

  4. 及び所在地その他派遣就業の場所並びに組織単位

    労働者派遣契約 派遣労働者が労働者派遣に係る労働に従事する事業所の名称…

  5. 派遣可能期間の制限のない労働者派遣

    派遣可能期間の制限に抵触する日の通知

  6. 労働者派遣契約とは

    労働者派遣契約とは?