労働者派遣法第26条でいう労働者派遣契約は、実務運用上基本契約ではなく、個別契約を指します。今回は、労働者派遣個別契約の契約内容、契約事項の定めの一つ、「派遣労働者が従事する業務の内容」について確認致しましょう。
派遣労働者が従事する業務の内容
業務の内容は、その業務に必要とされる能力、行う業務等が具体的に記述され、その記載内容により労働者派遣に適格な派遣労働者を派遣元事業主が決定できる程度のものであることが必要であり、できる限り詳細であることが適当であることとされています。
当然ながら、適用除外業務以外の業務に限られます。派遣できない業務とは?(適用除外業務)参照。そして、従事する業務の内容については可能な限り詳細に記載することが必要です。
派遣労働者が従事する業務の内容と派遣労働者の同一労働同一賃金
働き方改革関連法による改正労働者派遣法により、派遣元事業主は、「派遣先均等・均衡方式」(派遣先の通常の労働者との均等・均衡待遇の確保)、「労使協定方式」(一定の要件を満たす労使協定による待遇の確保)のいずれかの待遇決定方式により派遣労働者の待遇を確保することとされ、令和2年4月1日に施行されました。
いずれの待遇決定方式を採用するにしても、派遣開始前の業務の詳細な確認や取り決めは、選択した待遇決定方式の適正な運用にも関係してきます。実際に現場で派遣労働者が従事する業務を中途半端に適当に把握していたりすることで労使協定方式に定めた職種や業務内容と合致しなかったり、待遇決定方式の有効性に大きな影響が出る可能性があります。
派遣労働者の同一労働同一賃金、待遇決定方式の適正な運用を行うためにも、業務内容の丁寧な確認、取り決めは今まで以上に重要です。
労働者派遣法施行令第4条第1項各号に掲げる業務が含まれるとき
業務の内容に労働者派遣法施行令第4条第1項各号に掲げる業務が含まれるときは、日雇労働者に係る労働者派遣が可能な業務であることを労働者派遣契約当事者間で認識を共有するため、当該号番号を付することが必要です。
労働者派遣法施行令第4条第1項各号に掲げる業務とは?
日雇派遣の禁止の例外の一つとして、労働者派遣の対象となる日雇労働者の適正な雇用管理に支障を及ぼすおそれがないと認められる業務、令第4条第1項各号に掲げる業務(17.5業務)が定められています。
ただし、日雇労働者に係る労働者派遣が行われないことが明らかである場合は必要ありません。 「日雇労働者に係る労働者派遣が行われないことが明らかである場合」とは、次のいずれかであり、かつその旨が労働者派遣契約において明記されている場合とされています。
- 無期雇用労働者の労働者派遣に限る場合
- 契約期間が31日以上の有期雇用労働者の労働者派遣に限る場合
- 無期雇用労働者又は契約期間が31日以上の有期雇用労働者の労働者派遣に限る場合
労働者派遣契約書の記載例(業務内容)
<業務内容> パーソナルコンピュータの操作によるプレゼンテーション用資料、業績管理資料、会議用資料等の作成業務
(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行令第4条第1項第3号の事務用機器操作に該当。)
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