労働者派遣個別契約の契約内容、契約事項の定めについて、第2回目は「派遣労働者が従事する業務に伴う責任の程度」について確認致しましょう。
派遣労働者が従事する業務に伴う責任の程度
「派遣労働者が従事する業務に伴う責任の程度」とは、派遣労働者が従事する業務に伴って行使するものとして付与されている権限の範囲・程度等を意味します。
チームリーダー、副リーダー等の役職を有する派遣労働者であればその具体的な役職を、役職を有さない派遣労働者であればその旨を記載することで足りますが、派遣元事業主と派遣先との間で、派遣労働者が従事する業務に伴う責任の程度について共通認識を持つことができるよう、より具体的に記載することが望ましいこととされています。
責任の程度を示す記載例
<責任の程度:役職を有さない場合>
役職を有さない(所定外労働なし、部下なし)
<責任の程度:役職を有す場合>
副リーダー(部下2名、リーダー不在の間における緊急対応が週1回程度有)
適正な派遣料金を派遣先と合意することで派遣労働者の均等・均衡待遇を確保
派遣元事業主は、派遣労働者の待遇について、派遣先に雇用される通常の労働者との間で均等・均衡待遇(労働者派遣法第30条の3第1項又は第2項の規定に基づき、派遣先に雇用される通常の労働者との間で不合理な待遇の禁止等に係る措置を講ずることをいう。以下同じ。)を確保しなければなりません(労働者派遣法第30条の3)。
派遣元事業主は、派遣労働者の均等・均衡待遇を確保するため、派遣先の労働者の待遇等に関する情報が必要となることから、労働者派遣の役務の提供を受けようとする者に対し、労働者派遣契約を締結するに当たり、あらかじめ、比較対象労働者の待遇等に関する情報を派遣元事業主に提供する義務が課されています。
比較対象労働者とは、労働者派遣の役務の提供を受けようとする者に雇用される通常の労働者であって、その業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という。)並びに職務の内容及び配置の変更の範囲が、労働者派遣に係る派遣労働者と同一であると見込まれるものその他の派遣労働者と待遇を比較すべき労働者であることとされています。
ということで、「派遣労働者が従事する業務の内容に伴う責任の程度」は、派遣労働者の待遇について、派遣先に雇用される通常の労働者との間で均等・均衡待遇を確保する上で、「派遣労働者が従事する業務の内容」と合わせて重要な判断要素となることから記載されるべきものと思われます。
派遣元は、派遣労働者が従事する業務内容や責任の程度を丁寧に把握して、適正な待遇(賃金水準)を確保するために、派遣先との合理的な派遣料金の交渉を円滑に進めることが求められます。
派遣元は、派遣労働者が従事する業務の内容や責任の程度に関して派遣先と詳細に取り決め、適正な派遣料金を提案して派遣労働者の均等・均衡待遇の確保に努めましょう。