今回は、前回にお伝えした「比較対象労働者の待遇等に関する情報の提供 ①比較対象労働者とは」の続きで、具体的な情報提供の方法やその内容について確認致しましょう。
情報提供すべき事項は、派遣労働者を協定対象派遣労働者に限定するか否かで異なります。まずは、派遣労働者に限定しなことを定める場合、いわゆる「派遣先均等・均衡方式(労働者派遣法第30条の3)」での情報提供すべき事項を確認致しましょう。
情報提供の方法
比較対象労働者の待遇に関する情報提供については、労働者派遣契約の締結に際し、あらかじめ、労働者派遣の役務の提供を受けようとする者から派遣元事業主に対して、情報提供すべき事項に係る書面の交付若しくはファクシミリをしてする送信又は電子メール等の送信をすることにより行わなければなりません。
情報提供に係る書面等の保存
派遣元事業主は、比較対象労働者の待遇に関する情報提供に係る書面等を、派遣先は、当該書面等の写しを、労働者派遣契約に基づく労働者派遣が終了した日から起算して3年を経過する日まで保存しなければなりません。
情報提供すべき事項

比較対象労働者の情報
- 職務の内容
- 人材活用の仕組み:職務の内容および配置の変更の範囲
- 雇用形態:通常の労働者、短時間労働者、有期雇用労働者または仮想の通常の雇用労働者の区別、および雇用期間(有期雇用労働者は通算雇用期間)
比較対象労働者を選定した理由
比較対象労働者の分類(比較対象者の6種類のパターン参照。)及びその理由、情報提供する者としてどういう者を選定したか(1人の労働者、複数人の労働者、雇用管理区分、過去1年以内に雇用していた1人又は複数の労働者、標準的なモデル)
比較対象労働者の待遇の内容
次に掲げるいずれかの内容を情報提供(待遇ごとに次のⅰからⅲのいずれかの方法によることも差支えありません。)
- 比較対象労働者が1人である場合に、当該者に対する個別具体的な待遇の内容。例えば、賃金であればその額、教育訓練であればその実施状況。
- 比較対象労働者が複数人である場合に、これらの者に対する個別具体的な待遇の内容。数量的な待遇については平均額または上限・下限額、数量的でない待遇については標準的な内容又は最も高い水準・最も低い水準の内容。
- 比較対象労働者が1人又は複数にである場合に、それぞれの適用している待遇の実施基準(比較対象労働者の賃金水準等を把握できるものに限る。)。例えば、賃金であれば、賃金テーブル及び等級表等の支給基準並びに比較対象労働者が当該賃金テーブル及び等級表等の賃金水準のいずれに該当するかがわかるもの。
比較対象労働者の待遇のそれぞれの性質及び当該待遇を行う目的
待遇の具体的な性質や待遇を行う具体的な目的をいいます。例えば、通勤手当であれば「通勤に要する交通費を補填する目的」、精皆勤手当であれば「一定数の業務を行う人数を確保するため、皆勤を奨励する目的」等が考えられます。
比較対象労働者の待遇のそれぞれについて、職務の内容、当該職務の内容および配置の変更の範囲、その他の事情のうち、当該待遇に係る決定をするに当たって考慮したもの
