労働者派遣法第24条(職業安定法第20条の準用)は、職業安定法20条の規定を労働者派遣事業について準用し、同盟罷業(ストライキ)や作業所閉鎖(ロックアウト)の行われている事業所への新たな労働者派遣の禁止等について規定したものです。
労働争議は、労使対等の立場で行われ、その解決も自主的に行われるべきものです。ところが労働者派遣事業等の労働力需給調整システムが争議中の事業所に対し労働力の提供を行うことは、争議の自主的解決を妨げることとなり、適当ではありません。
そのため、民営職業紹介事業、労働者募集及び労働組合の行う労働者供給事業について準用されている職業安定法第20条をこれらと同様に準用することにより労働者派遣事業も労働争議に対して中立的な立場に立ち、労働争議の自主的な解決を妨げないこととしたものです。
労働争議に対する不介入のポイント
禁止されるのは、同盟罷業又は作業所閉鎖が行われて以降、新たに労働者派遣をすることですから、すでに労働者派遣をしている場合には、その範囲内で引き続き労働者派遣をすることは許されます。同盟罷業又は作業所閉鎖中に同一内容の契約の更新、更改を行うことも許容されます。ただし、従来から労働者派遣はしていても派遣労働者を増加させるような行為は許されません。
同盟罷業又は作業所閉鎖が予定されているのに、その直前に、新たに労働者派遣をすることは労働者派遣法の趣旨に反しますので、同様に許されないものと考えられます。