労働者派遣事業を始めたいとお考えの事業者様にとって、許可要件をクリアすることは事業成功への第一歩です。しかし、許可要件には、事業の健全性を保つために非常に重要な「欠格事由」というものが存在します。これに該当してしまうと、どれだけ他の要件を満たしていても、許可を得ることはできません。
本記事では、将来的に労働者派遣事業の許可を検討されている皆様に向けて、特に注意すべき欠格事由について、わかりやすく丁寧にご説明いたします。
なぜ欠格事由が重要視されるのか?
労働者派遣事業は、派遣労働者の保護が非常に重要な事業です。そのため、許可を与えるにあたり、事業主が社会的信用や倫理観、そして適正な事業運営能力を有しているかが厳しく問われます。欠格事由は、これらの要素を欠いていると判断される事柄を網羅しており、事業の透明性や健全性を確保するために設けられています。
欠格事由に該当する事業者とは?
労働者派遣事業の許可申請を行う際、事業者(法人であれば役員全員)が以下のいずれかの事由に該当しないことが求められます。
- 禁錮以上の刑、または特定の法律違反による罰金刑を受けた者 労働者派遣法や労働に関する法律(労働基準法、職業安定法など)の規定に違反し、罰金以上の刑に処され、その執行が終わった日、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者は欠格事由に該当します。これは、過去に労働者保護の観点から問題のある行為があった場合、再び同様の事態を招く恐れがあるという考えに基づいています。
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者 破産手続開始の決定を受けた者で、まだ復権を得ていない場合も欠格事由となります。これは、事業運営に必要な財産的基礎や経済的信用がないと判断されるためです。
- 労働者派遣事業の許可を取り消されてから5年を経過しない者 過去に労働者派遣事業の許可を取り消された場合、その日から5年間は再申請ができません。これは、過去の事業運営に重大な問題があったと判断されたため、一定期間の再出発を禁じるものです。
- 暴力団員等、または事業活動が暴力団員等の支配下にある者 暴力団員、または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者(暴力団員等)が事業者や役員である場合、あるいは事業活動が暴力団員等に支配されていると認められる場合は、許可は得られません。これは、反社会的勢力との関係を完全に排除し、健全な事業運営を確保するための最も重要な要件の一つです。
- 成年者と同一の行為能力を持たない未成年者 営業に関して成年者と同一の行為能力を持たない未成年者で、その法定代理人が上記のいずれかに該当する場合も欠格事由に該当します。
派遣元責任者にも適用される欠格事由
労働者派遣事業では、派遣労働者の適切な雇用管理や保護のために、事業所ごとに「派遣元責任者」を選任する必要があります。この派遣元責任者も、事業者と同様に特定の欠格事由に該当しないことが求められます。派遣元責任者として選任されるためには、事業者や役員と同様に、過去の法律違反による刑罰や暴力団員等との関係がないことが求められます。さらに、労働者派遣事業を適正に行う上で支障がない健康状態であること、生活の根拠が安定していることなども要件に含まれます。
派遣元責任者は、日々の派遣事業において派遣労働者の就業条件の明示、苦情対応、派遣元管理台帳の作成など、多岐にわたる重要な職務を担います。そのため、選任する人物がこれらの要件を確実に満たしているかを確認することが不可欠です。
派遣元責任者の欠格事由
派遣元責任者は、派遣事業の運営において中心的な役割を担う人物です。そのため、選任にあたっても欠格事由が厳しく定められています。
以下は、派遣元責任者として選任できない主な欠格事由です
- 労働者派遣法、労働基準法、職業安定法などに違反し、罰金刑以上の刑に処せられ、執行終了から5年を経過していない者
- 心身の故障により、労働者派遣事業を適正に行うことができない者
- 破産して復権していない者
- 過去に派遣事業の許可を取り消された者(取消から5年以内)
- 暴力団員または暴力団員でなくなってから5年以内の者
- 法人の役員として、過去に許可取消の原因となった者(取消から5年以内)
派遣元責任者は、講習の受講や一定の雇用管理経験も必要ですが、まずは欠格事由に該当しないことが前提となります。
まとめ:欠格事由は事業の健全性を守るための大切なルール
労働者派遣事業の許可要件における欠格事由は、事業者の過去の行動や現在の状況から、事業運営の健全性や信頼性を判断するための重要な基準です。これに該当してしまうと、事業のスタートラインにすら立てません。許可申請の準備段階で、事業者および役員、そして派遣元責任者候補者が欠格事由に該当しないか、綿密に確認することが非常に大切です。
労働者派遣事業を始めるにあたり、欠格事由の確認は最初に行うべき重要なステップです。過去の法令違反や破産歴などがある場合でも、一定期間を経過していれば許可取得が可能になるケースもあります。しかし、判断が難しい場合も多く、専門的な知識が求められる場面もあります。許可申請をスムーズに進めるためには、社会保険労務士などの専門家に相談することを強くおすすめします。
事業の成功に向けて、安心して事業運営に集中できるよう、専門家にご相談の上、万全の体制で許可申請に臨むことをお勧めします。
HRストーリーズ社会保険労務士法人では、労働者派遣事業の許可申請に関するサポートを承っております。許可要件の確認から申請手続きまで、お客様の状況に合わせて丁寧にアドバイスいたします。
まずはお気軽にお問い合わせください。
