コーディネーター
労働者派遣事業の最もハードルが高い許可要件として、財産的要件。資産要件に関する、いわゆるお金に関する要件を確認致しましょう。原則、直近の決算書での判断となり、主に、現預金額が1,500万円以上、基準資産額が2,000万円以上が必須となります。
資産要件についての勘違いが散見されています、資本金が2,000万円以上あることのみが要件を満たすのは、未だ決算期を一度も迎えていない新設法人でしかあり得ません。
労働者派遣事業許可の資産要件
労働者派遣法第7条第1項第4号の要件(ロ及びハの他、申請者が当該事業を的確に遂行するに足りる能力を有するものであること。)に記載されている財産的要件は法人又は個人単位で判断されます。
労働者派遣事業の許可申請事業主(許可申請者(法人の場合))についての財産的基礎の要件については以下の3つの基準をクリアしなければなりません。ここでは、便宜上1事業所の許可に付き必要とされる資産要件を確認します。
資産(繰延資産及び営業権を除く。)の総額から負債の総額を控除した額(以下「基準資産額」という。)が2,000万円に当該事業主が労働者派遣事業を行う(ことを予定する)事業所の数を乗じた額以上であること。
資産(繰延資産及び営業権を除く。)の総額から負債の総額を控除した額(以下「基準資産額」という。)が負債総額の7分の1以上あること。
事業資金として自己名義の現金・預金の額が1,500万円に当該事業主が労働者派遣事業を行う(ことを予定する)事業所の数を乗じた額以上であること
「繰延資産」とは、会社計算規則(平成18年法務省令第13号)第74条第3項第5号に規定する繰延資産をいい、「営業権」とは、無形固定資産の一つである会社計算規則第2編第2章第2節の「のれん」をいいます。
資産要件(財産的要件)を満たさない場合はどうする?
これらの3つの資産要件の確認は、実際の直近の貸借対照表にて判断致します。もし資産要件が満たせない場合は、次の年度の決算にて要件がクリアできるようにするか、資金繰りの状況や増資の可能性がある場合は、決算月以外の月次や中間決算での要件のクリアを「公認会計⼠の監査証明」でもって実現します。
- 来年の決算まで待つ(来年度クリアできる前提で)
- 増資等を行うことで公認会計士の監査証明により、直近の決算後の月次か中間決算にて資産要件をクリアする
- 別会社を設立(資本金を2千万円で設立)して要件をクリアする。
公認会計士又は監査法人による監査証明
基準資産額又は自己名義の現金・預金の額が増加する旨の申し立てがあったときは、公認会計士又は監査法人による監査証明を受けた中間決算又は月次決算による場合に限り、基準資産額、負債の総額及び自己名義の現金・預金の額のいずれについても当該中間決算又は月次決算により確認するものとする。
HRストーリーズ社会保険労務士法人では、無料相談を通じて、許可要件の事前チェックの際に財産的要件・資産要件を直近の決算書にて確認させていただきます。問題がある場合は、許可を通すためのご提案を致します。必要に応じて、監査証明に長けた公認会計士を無料でご紹介いたします。